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2015年 05月 26日

ターナーに会いに行こう!

昨年の末にAppleのMovie Trailersのサイトで見つけて、
とても気になっていた映画「ターナー、光に愛をこめて」の試写会に赴きました。英語タイトル『Mr. Turner』。

ロンドンのTate Galleryはもちろん、Petworthに手書きスケッチを見に行ったほどターナーが大好き♡
これほどの作品群を描いた人物、やはり気になります。
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↑ 10年前に訪れた時のPetworth。

ターナーマニアとしての視点。
かの絵画がどのように仕上げられたのか、どのようなインスピレーションから生まれたのか。
これらの視点で期待すると、しっぺ返しをくらうことになります。
この映画、徹底してターナーという[人間]を描写しているのです。
それもアーティストとしてではなく、一人の人物として。
天才的なひらめきも見せず、いかに名声を得たかなどはすべて省略。
実に人間くさく、孤高の作家であったということを淡々と映し出して行きます。
加えて、ターナーの晩年からストーリーが始まるので、ご老体感が半端ではない(^-^;
愛情と言うよりも愛欲と言った方がいい程の恋愛描写も凄まじい。
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↑ ターナーマニアの見所 その1
戦艦テメレール号をCGで再現!!
こういうシーンをいっぱい見たかったけど、人間ドラマとは関係ないので省略されてしまいました。

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↑ ターナーマニアの見所 その2
嵐の海を描くために、船のマストに自分を括り付けたという逸話を再現!
これは伝説に類する話なので、観客へのサービスでしょう。

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↑ ターナーマニアの見所 その3
ターナーの描いた自画像とは似ても似つかない主人公。
実際にも、眉目秀麗ではなかったらしい。

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↑ ターナーマニアの見所 その4
撮影監督ディック・ポープによる見事な映像。
ターナーの絵画を意識した光の捉え方はこの映画の見所の一つ。
この写真はウェールズ地方だと思う…違うかな。
スコットランドのような気がしてきました(^-^;

ターナーの心象を掴むには、台詞の一つ一つを聞き分けないと理解しづらい部分もあります。
ここで日本語字幕に苦言を一つ。
ターナーが自分の母親について語った言葉が " LUNATIC "...これが日本語字幕では「精神障害」。
気配りのつもりかもしれないけど、これは違うでしょう!
母親の影響については、上映後の座談会でも触れていたように、とても大切な要素のはずです。
主人公が自分の母親を語る唯一のシーンなので、かなり重要だと思うのですが。


映画マニアの視点。
○ ティモシー・スポールは「アップサイドダウン 重力の恋人」で主人公の同僚を魅力タップリに演じていた人。この映画に関してはいろいろと書きたいことがあるのですが、長くなるので今回は割愛。
○ マリオン・ベイリーは「名探偵ポワロ」、「ニュートリックス」、「バーナビー警部」など、英国ドラマ好きにはお馴染みの人。
○ クライブ・フランシスは「時計じかけのオレンジ」でトーストをもぐもぐ食べていた人。
○ 昨年のアカデミー賞3部門(撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞)でノミネートされていました。残念ながら受賞は逃しました( . .)

スタッフもキャストも日本では馴染みのないメンバーばかり。
派手な見せ場もなく、2時間30分の長丁場を飽きさせることなく観客を引きつける手腕は、
監督マイク・リーの力技。
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↑ 当時の絵画事情(特にロイヤルアカデミーについて)を描いた映画は記憶になく、とても勉強になりました。

かなり地味な映画ですが、絵画に興味のある方に是非見ていただきたい映画です。

映画に関する画像は、特別に許可をいただいて掲載しました。
© Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Diaphana, France3 Cinéma, Untitled 13 Commissioning Ltd 2014.


おまけ。
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↑ 帰路の夕焼けはターナー好みかも。
 
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by 2001cookie | 2015-05-26 19:04 | 映画 | Comments(2)
Commented by emi at 2015-05-27 01:38 x
二つのマニア視点から書かれている点が興味深かったです。
ターナーの絵は知っていましたが、人物については全く知りません。孤高の画家だったんですね。
なかなか奥が深そうな映画ですね。
Commented by 2001cookie at 2015-05-27 20:09
> emi さま
邦画も洋画も、時代劇はその時代背景を理解していないと楽しめないケースが多いですよね。
でも、その映画から時代背景を読み取る面白さもあるのです。
この映画はその典型かも。


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